海外から親を呼寄せる手続き
親を呼寄せるための在留資格は無い
現在の日本の在留資格制度では、海外にいる親を日本に呼び寄せるための明確な在留資格は存在していません。そのため、はっきりとした要件や手続きがないため、「特定活動」や「定住者」などの在留資格を用いて、それぞれの状況を踏まえて個別に審査することとなります。
その結果、一般の申請人から見ると審査の基準はわかりづらく、許可の取得が非常に難しいものとなっています。
親を呼び寄せの目的を検討する
海外から親を呼寄せる目的海外から親を呼寄せしたいとき、目的により該当する在留資格が異なり、呼び寄せ手続きも異なりますので、十分に検討することが大切です。
海外から親を呼び寄せしたいというケースでは、主に次のような目的を挙げることが出来ます。
1.観光、親族訪問
日本にいる子に会いたい、日本を観光したいという場合は、長期在留の必要はありませんから、短期滞在の在留資格で入国することになります。
親の国籍が、日本国が査証免除していない国籍国の場合は、在外公館(外国にある日本大使館・領事館)で事前にビザを取得してから、来日しなければなりません。
上陸港で与えられる在留期間は、15日、30日または90日間です。
2.子供の出産・孫の世話をする
日本で生活する子が出産する場合など、本国に住む親の手助けが一時的に必要な際には、短期滞在の在留資格で入国することになります。
しっかりと説明を行えば割と高い確率で入国することができますが、日本での滞在日数は最大で90日までです。
「出産日が遅れた」、「出産後の体調が悪い」などの理由で、もう少し子のそばにいる必要があるときは、短期滞在の更新が認められるケースがあります。ただし、あくまでも個別の事情で判断されるので、更新が不許可になるケースもあること、更新ができても1 回のみ(最大90日)となります。
3.病気の療養
医療滞在ビザが創設されたことにより、日本の病院での病気治療や入院などを目的とした入国が明確にできるようになりました。医療機関における治療行為だけでなく、日本の医療機関の指示による人間ドック、健康診断、検診、歯科治療、温泉湯治等を含む療養など、幅広い分野が対象になります。
ただし、日本での滞在期間は原則として90日以内で、数次有効のビザを取得するためには医師による治療予定表などの提出が義務付けられています。
4.子供と暮らしたい
日本で子供と一緒に生活する既に日本で暮らしている子供と、一緒に生活を行うための呼び寄せであり、日本の企業で働く息子家族と一緒に生活する場合などが該当します。
入国が許可された場合には「特定活動」 などの在留資格が与えられることが多いのですが、その取得は非常に難関になっています。日本での生活を希望する理由や家庭環境などが個別に審査されるため、許可がもらえた人の申請内容を真似ても全く意味がありません。
入管法を理解した上で、審査官を説得できるような説明と証拠を準備する理論的な申請が求められます。
5.本国で身寄りがない
本国で暮らすご両親のどちらかが他界してしまった結果、本国での身寄りがなくなってしまったケースなどが該当します。
このような場合に「特定活動」などの在留資格で親の在留を認めてくれることもありますが、あくまでも個別に状況を審査するため、「身寄りがなければ簡単にビザがもらえる」といったものではありません。